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佐藤奈々子(03.11.011記)
私は3年前、科学館で行われた、「小さな森の妖精たち」変形菌(粘菌)とキノコと云う特別展に同好会の人たちと一緒に解説員として参加した事があった。 その時、モジホコリの菌核をいたヾき、ひと夏、飼ってみた事がある。 粘菌はキノコと同じく胞子から発芽するが、その時、キノコの様に菌糸が生れるのではなく、アメーバが生れ、エサを求めて動き回るのである。 このアメーバは湿度も高く、気温が25C゜以上になると、良く動き回り、落ち葉の下や、倒木の陰などの暗いジメジメした所でバクテリア等を食べて成長し、ある日突然、表に現れ、半日程で、小さなキノコのような子実体に変身するのである。 採集会で皆が目にした豆の様なものは、この様にして出来た粘菌の子実体だったのです。 しかし、このアメーバ状態のものは、気温が低くなったり、環境が悪くなったりすると、動きを止め、冬眠状態に入る。 これが菌核と呼ばれ、私が科学館からいたヾいて来たものでした。 この菌核は黄色の厚紙の様なもので、これを3a四方位のものを分けて貰いました。 シャーレに2%の寒天を流し、その上に菌核を置き、水を入れて蓋をし、1時間後に、余分な水分を捨てる。 この方法は、科学館から教えていたヾいた方法であるが、なるべく忠実に従ってみた。 マニアル通り、4・5時間後には、休眠から覚めた粘菌は、アメーバ状になって動き始め、私は思わず歓声を上げた。 寒天の上にオートミールを置くと、そこへ移動してエサを食べに行く。 但し、オートミールを食べるのではなく、これについたバクテリアを食べるのだそうである。時々容器を取替え乍ら、ひと夏アメーバの動きを観察した。 ある時、容器の蓋まで這い上がったアメーバは、いつもの様に容器の内側を伝わり、底に下りてくるものと思っていたが、チョッと眼を離した隙に、大きく広がっていた アメーバの姿が消えていた。 一瞬、何が起ったのか、のみ込めなかった。 改めてよく見ると、蓋まで這い上がっていたアメーバは、なんと1本の糸の様になって、直下におり始めていた、やがて下におりた糸の先には、又アメーバが広がり始めた。
何日もアメーバの観察をして来たが、この様な不思議な動きをしたの は、初めてであった。 這い上がって来た所を又戻るのに較べれば、は るかに近道なのである、凄い放れ業をやれるものだと驚いた。 そして 慌ててカメラに収めた。 2000年10月4日のことであった。 それから5日後の10月9日河北新報の「科学」欄に、粘菌に迷路解く能力、えさへの最短ルート選択(理化学研チーム発見)と云う記事が載った。そこには@、A、B、Cと迷路を使った実験の写真も載っていた。 私はひと夏、粘菌の観察に明け暮れたが、この様な素晴らしい場面に遭遇出来た事の幸せに、酔いしれた。 ![]() |
